地獄と極楽

 昔、とんちの名人で一休さんという有名な和尚さんが居

ました。

 あるお弟子さんが質問しました。

 「地獄とか極楽というのは一体どんなところですか」と

伺うと、一休さんは見せて下さるというのです。

 「それじゃあ私についていらっしゃい!」と言って、一

休さんはどんどんと山に登って行きました。

 お弟子さんが「おしっこをしたいので少し待って下さい」

と言ったら「もうすぐだから我慢をしなさい!」と言われ

て我慢をしていましたが、限界まで来た時に、やっとお許

しがでました。

 地獄の思いをして、その後に極楽の思いをした時に、「地

獄と極楽がよくわかりました」と言ったというお話です。

 地獄極楽は死んでみなくても、この世に地獄極楽はあり

ます。

 当り前のことを当り前と思うから、よろこびも感謝もわ

いてこない、というたったそれだけのことを私達は忘れて

いるのかもしれません。

 幸せを当り前と思って幸せに慣れ過ぎて気づかなくなっ

ていると、もっともっと高望みをして毎日を喜べなくなっ

てしまいます。

 小さな当り前を沢山発見して、どれだけ驚いて喜べるか

ということが、極楽の境地なのではないでしょうか。

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